白隠慧鶴について
臨済宗中興の祖と称される江戸中期の禅僧。諡は神機独妙禅師、正宗国師。「駿河には過ぎたるものが二つあり、富士のお山に原の白隠」とまで謳われた。現在も、臨済宗十四派は全て白隠を中興としているため、彼の著した「坐禅和讃」を坐禅の折に読誦する。現在、墓は原の松蔭寺にあって、県指定史跡となり、彼の描いた禅画も多数保存されている。

白隠の出生から雲水としての修行時代
貞享二年(1685年) 東海道十三番目の原宿の地に生まれた白隠(幼名岩次郎) は、元禄十二年(1699年) 十五歳の時に得度して、慧鶴(えかく)と名付けられ る。松蔭寺の見習い僧から修行をはじめ、元禄十六年、十九歳になった慧鶴は廻国行脚へと旅立った。雲水として十四年の歳月を修行に費やすことになるが、各地を遍歴することで、多くの貧しい人々の暮らしの現状を目の当りにした経験は、後年の救済運動に繋がっていった。
故郷原宿にもどり、荒廃していた松蔭寺を復興する
享保二年(1717年)三十三歳で松蔭寺に入寺した慧鶴は、「白隠」という道号を名乗り、松蔭寺の住職に就任する。白隠は、禅の学究に勤しむかたわら、在家支援者の理解と援助のもと、寺の借金を返済しつつ、松蔭寺の復興に精力的に取り組んでいく。その過程で、末寺としての悲哀と苦衷を身に沁みて経験したことは、本末制度に安住する宗門への厳しい批判へと繋がっていった。
社会全体の変革を唱えるようになった後半生への転換
元文二年(1737年)、白隠五十三歳の時に、松蔭寺の経営はようやく軌道にのる。すでにその学識におい名声を博していた白隠は、その年以降、招請に応じては全国各地に赴いて、提唱・講読をおこない、上は公家・大名から下は庶民まで分け隔てなく交流し、社会を深く洞察しては、鋭い疑問、批判を人びとに投げかけた。数万点ともいわれる白隠独得の禅画は、そうした交流のうちに描かれたものである。
宝暦・明和期の白隠
宝暦四年(1754年)、白隠七十歳の時に書かれた『辺鄙以知吾」は、その激烈な政治批判のために禁書となった。また明和年間に駿河小島藩で起こった惣百姓一揆に干与していた可能性もある。幕政・藩政への批判を展開したのは白隠一人ではない。 宝暦八年(1758年)には、京都で竹内式部をはじめとする尊皇論者が弾圧され、明和四年(1767年)には、倒幕思想の先駆けとなる放伐論を唱えた山県大弐が門人らと共に捕縛されるという時代であった。
白隠の門弟、支援者たち
原宿の松蔭寺に参集した門弟たちは、松蔭寺の山号「鵠林」から鵠林一門と呼ばれた。門弟たちの多くは、宗派の有力な寺院、名刹の住職に就任して、白隠の宗門改革を浸透させていった。彼らのほかにも、大名や公家、各地の豪商、豪農などが有力な在家居士となって、白隠の活動をひろく支えていた。鵠林一門に在家居士群を加えれば、まさに鵠林教団とも称すべき一大勢力であった。
白隠の晩年
優秀な数多くの門弟を育て上げ、宗門全体に影響を及ぼすほどにまで拡大した鵠林教団を率いる白隠の権勢は、いまや押しも押されもせぬものであった。そんな白隠が頭を悩ませたこと、それは自身の後継問題であった。五百年に一人と言われた名僧も、晩年はさまざまな俗事に悩まされることになった。後継問題を切り抜けた後、明和五年(1768年)、白隠は八十四歳でその生涯を閉じたのであった。
白隠の弟子たち
葦津慧隆 | 円桂祖純 | 快嚴智徹 | 峨山慈棹 |
央龍伊松 | 格宗浄超 | 環渓祖底 | 貫宗会通 |
関捩慈訓 | 寬瑞祖精 | 玄室宗実 | 悟庵襌聡 |
劫運祖永 | 江西慧顒 | 業海宗牧 | 指津宗琅 |
斯経慧梁 | 鐘山霊祐 | 神州義敦 | 遂翁元廬 |
石鼎道剛 | 禅圭周因 | 滄海宜運 | 太庾放石 |
曹渓智脫 | 草山祖芳 | 層嶺方邃 | 太霊紹鑑 |
大休慧昉 | 大舟楚欣 | 大虫慧岑 | 大同曇慧 |
長沙恵法 | 鳥道慧忠 | 提州禅恕 | 天崖玄魯 |
天猊慧謙 | 東嶺円慈 | 独天默笑 | 月丘無隠 |
弁的首座 | 澧川道温 | 牧翁惠水 | 雄山慧牧 |
良哉元明 | 霊源慧桃 | 楞山慧脫 |
白隠の掛け軸は古いものですので大切に保存ください。
清潔な場所に保存する
掛け軸を保存する場所は、汚れやほこりが少なく、湿気のない場所が望ましいです。また、直射日光が当たらない場所を選びましょう。
保存用具を使用する
掛け軸を保管する際には、保存用具を使用することで傷つけたり、汚れたりすることを防ぐことができます。保存用具としては、布や紙でできた袋や箱を使用すると良いでしょう。
定期的な手入れを行う
掛け軸を長期間保存するためには、定期的な手入れが必要です。掛け軸を保存する袋や箱を開けて、汚れやほこりを取り除くことで、掛け軸を美しく保つことができます。
乾燥剤を使用する
湿気の多い場所で掛け軸を保存する場合には、湿気を吸収する乾燥剤を一緒に保存することがおすすめです。乾燥剤を使用することで、掛け軸を湿気から守り、カビや汚れの発生を防ぐことができます。
定期的な展示を行う
掛け軸を長期間保存する場合でも、定期的に展示することで、掛け軸が美しく保たれます。展示することで、掛け軸を汚れから守り、美しい状態を保つことができます。