横山大観の略歴　(Yokoyama taikan)

1868年	常陸国水戸（現在の茨城県水戸市）に生まれる
1878年	一家で上京
1883年	絵画に興味を持ち、渡辺文三郎に師事
1888年	東京美術学校を受験し、養子縁組により横山姓を名乗る
1893年	東京美術学校を卒業し、京都で修養
1895年	京都市立美術工芸学校で教諭として勤務
1896年	東京美術学校の助教授に就任
1907年	国が主催となって、官営の「文展」（文部省美術展覧会）が開催され、審査員を務める
1928年	イタリアの最高指導者ベニート・ムッソリーニに『立葵』を献呈
1938年	ドイツ総統アドルフ・ヒトラーに献呈するための作品『旭日霊峰』を完成
1958年	死去

昭和三十三年に亡くなった大観は、近代日本を代表する一大人物であり、美術界で類を見ない才能を持っていました。彼の成功は、明治美術のロマン的リーダーである岡倉覚三（天心）から受けた影響によるものであり、岡倉天心に対する敬愛は生涯変わることはありませんでした。東京美術学校で橋本雅邦の指導を受けた大観は、古美術や洋画の影響を受けて独自の画風を確立しました。卒業制作の作品から彼の努力が伺えます。卒業後、帝室博物館の美術部長であった天心の計画で、古美術の模本制作に参加し、京都に移住しました。この時期に模写を通じて多くの技法を習得し、後の画業に大いに役立ちました。

京都時代を終え、東京美術学校助教授になった大観は、天心が設立した日本絵画協会の展示会に参加し、新風を巻き起こしました。その中で、作品「無我」は古画研究から来る落ち着いた彩調と禅的な悟境を表現し、大観の画才が際立っていました。

大観は朦朧体と呼ばれる新しい画風を確立し、日本美術院の創立に貢献し、また、文展においても多くの作品を出品し、大観式新日本画は成熟期に達しました。

大正12年に上野の院展で公開された「生々流転」は、大観の名作であり、その後も多くの大作や力作を制作し、日本画壇の第一人者として活躍しました。大作の中には、墨絵の「山四趣」や「瀟湘八景」、「飛泉」、「秩父霊峰春暁」、「竜蚊躍四」、色彩画の「夜桜」、「紅葉」、「野の花」、「海十題」、「山十題」などがあります。また、富士山も独自の解釈で多くの作品を描きました。大観は巨大な定評に自縛される場合もあったが、その作品は時代を代表するものとなっています。

横山大観の師、渡辺文三郎について

嘉永6年（1853）、備前国矢掛町で誕生。最初は岡本豊彦の門人である種彦に学び、興譲館で漢籍を学んだが、明治6年（1873）に上京し、五姓田塾で洋画を学びました。同10年（1877）東京英語学校で図画教師となり、同13年（1880）には、義松が渡仏した際に五姓田塾を預かり、弟子たちを指導しました。同22年（1889）には、明治美術会の創設に参加し、浅井忠や松岡寿らとともに活動します。その後、文展にも出品しますが、同34年（1901）の明治美術会の事実上の解散以降は目立った活動はありませんでした。

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