山本鼎の略歴　(Yamamoto kanae)

1882年10月14日	愛知県岡崎に生まれる
1902年	東京美術学校西洋画科選科入学
1904年	木版二色刷「漁夫」発表
1907年	石井柏亭、森田恒友らと『方寸』誌創刊
1909年	北原白秋詩集「邪宗門」挿絵
1912年	フランス留学へ旅立ち、エコール・ド・ボザールに入学、エッチングを学ぶ
1918年	日本創作版画協会設立、会長となる
1931年	日本版画協会設立、副会長となる
1935年	帝展参与となる
1946年10月8日	死去。享年63

山本鼎は1882年に愛知県岡崎市で生まれ、5歳の時に母と共に東京へ移住しました。彼の10代は主に木版工房で働き過ごしました。修業期間が終わると、東京美術学校で黒田清輝から洋画を学びましたが、1904年には版画『漁夫』を発表し、創作版画家としての評価を確立しました。1912年には30歳でフランスへ留学し、パリで経験を積みながら秀作を生み出しました。彼の作品には油絵の『自画像』や木版画の『モスクワ』、そしてブルターニュ地方の女性を描いた『ブルトンヌ』があります。

帰国後は、作家活動よりも教育活動に力を入れ、児童自由画教育運動を推進しました。この運動は、子供たちが自然を直接観察し表現することを重視しました。また、彼は農民たちが作る工芸品を「農民美術」と称して、その製作を奨励しました。山本鼎は、海外で見た子どもたちの創造性と、名もなき農民たちの工芸品から、日本の子どもや農民と共に創造の喜びを分かち合うことに情熱を傾けました。彼は「直接感じたものが大切」と述べ、芸術家としても教育者としてもその信念を貫いていました。

児童自由画教育運動

山本鼎は児童画教育の改革が必要だと考え、1918年に日本創作版画協会を創設し、会長として自由画教育運動を推進しました。この運動は日本全国の教育界で受け入れられ、特に長野県では個性教育と自由教育の思潮に支えられて迅速に広がりました。1919年4月、長野県の神川小学校で開催された初めての児童自由画展覧会には、地元から約1万点の作品が集められ、7000人以上の児童が来場しました。1920年には、「自由画教育の要点」を中央公論誌に発表し、同年12月には北原白秋らと共に日本自由教育協会を設立しました。鼎の推進する自由な感性を重視する芸術教育のアプローチは、今日に至るまで影響を与え続けています。

山本鼎の買取相場

日本画家の作品は出来不出来によって大きく変わります。描き込みが良く、展覧会などへの出品作は50万円までの最高値にいくこともありますが、はがきサイズの小品や水墨画の作品は価格が低くなる傾向にあります。

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