竹内栖鳳の略歴　(Takeuchi seiho)

1864年11月22日	京都に生まれる。本名：恒吉
1877年	四条派の土田英林に絵を習いはじめる
1881年	幸野楳嶺の私塾へ正式に入門
1889年	京都府画学校で教鞭を執る
1900年	7か月間ヨーロッパを旅行し、ターナー、コローなどから強い影響を受ける
1909年	京都市立絵画専門学校（現・京都市立芸術大学）開校、教授に就任する
1924年	フランスのレジオンドヌール勲章受章
1931年	ハンガリー最高美術賞およびドイツのゲーテ名誉賞受賞
1937年	第1回文化勲章受章
1942年8月23日	死去。享年78

京都市中京区の川魚料理店「亀政」の一人息子として生まれる。明治10年、四条派の土田英林に師事して絵を学び始めるが、明治14年、17歳の時に円山・四条派の名手として知られる幸野楳嶺の私塾に正式に入門。この頃から才能を発揮し、翌年には私塾の工芸長となり、「楳嶺四天王」（栖鳳、都路華香、谷口香嶠、菊池芳文の4名）筆頭と称されるようになる。

明治20年、京都府画学校（現・京都市立芸術大学）を修了。明治22年、同校に勤務し、若手画家の先導者として注目を集める。新古美術会や日本絵画協会へ作品を出品。明治24年、山元春挙、菊池芳文らと共に青年画家懇親会を設立。明治26年にはシカゴ万博に作品を出展した。

明治33年、36歳でパリ万博に『雪中燥雀』を出品し銀牌を受賞。この欧州視察を機に7か月間ヨーロッパを巡り、ターナーやコローの作品から影響を受ける。明治34年に帰国し、西洋の「西」にちなんで号を「栖鳳」と改める。

大正2年、帝室技芸員に選出され、京都画壇の第一人者としての地位を確立。明治42年には京都市立絵画専門学校（現・京都市立芸術大学）の教授となり、大正13年まで教鞭を執る。その後、大正13年にはフランスのレジオンドヌール勲章、昭和6年にはハンガリー最高美術賞およびドイツのゲーテ名誉賞を受賞。昭和12年には第1回文化勲章を受章し、名実共に京都画壇の筆頭としての地位を確立した。

竹内栖鳳の画風

その画風は、四条派を基盤としながらも、狩野派の要素や西洋の写実画法を積極的に取り入れたものであり、革新性に富む独自のスタイルを確立した。一方で、伝統主義を重んじる守旧派からは「鵺派」と揶揄されることもあったが、大胆な構図と緻密な技法を兼ね備え、さらにその筆致には悠然とした迫力が宿り、近代日本画を代表する巨匠としての評価は揺るぎない。

栖鳳は身近な動物から珍しい動物まで幅広い題材を描き、特にトラやライオンといった希少な動物から、雀や猫、兎、猿、家鴨などを自宅で飼育しながら写生を行うという独自の姿勢を貫いた。代表作の一つである「写生帖（虫類、鳥類写生）」（1880年頃）には、雉の肩や首筋に本物の羽を貼り付けた写生が残されており、「描写された動物からその匂いさえ感じ取れる」と評されるほどの卓越した技量を物語っている。

栖鳳は、終始官展に身を置きつつ、在野の横山大観とともに日本画壇の双璧と称され、「西の栖鳳、東の大観」と並び称された。また、弟子の育成にも熱心に取り組み、自ら画塾「竹杖会」を主宰。上村松園や西山翠嶂、西村五雲、伊藤小坡、土田麦僊、小野竹喬、池田遙邨、橋本関雪、徳岡神泉、吉岡華堂など、京都画壇の中核を担う多くの才能を輩出した。

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