白井烟嵓の略歴　(Shirai engan)

1894年2月8日	愛知県渥美郡花田村（現豊橋市）に生まれる。本名：龍
1896年	日本南画院創設に参加
1917年	南宗画家の松林桂月に師事し、烟嵓と号する
1920年	第2回帝展に「幽栖」が初入選
1949年	第5回日展「雲行雨施」特選
1961年	第1回日本南画院「秀孤松」文部大臣賞
1974年	田原町表彰
1976年1月19日	死去。享年81

愛知県渥美郡花田村（現在の豊橋市）で白井徳平の次男として生まれた白井烟嵓は本名は龍で、字名を瀧司と称し、従兄弟の白井永川から絵を学び、静古と名乗りました。1917年に南宗画家の松林桂月に師事し、烟嵓と号します。1920年の第2回帝展で「幽栖」が初めて入選、1896年には日本南画院の創設メンバーとして参加し、同院の理事も務めました。大正から昭和にかけて、帝展、新文展、日展を中心に、日本南画院展などの団体展で活躍しました。

1918年から1933年まで外海家の養子となり、この間は外海烟巖と名乗っていました。1933年の第14回帝展以降は白井烟巖名義を使用し、1939年の新文展第3回展からは白井烟嵓名義を使用しました。

渡辺崋山顕彰の功績を称え、田原町の町政功労者として表彰され、彼の遺品は田原町（現田原市）に寄贈された。

白井烟嵓の画風

烟嵓は渡辺崋山、椿椿山、野口幽谷、松林桂月という画家たちと関連がある流れを引く画家で、特に古風で趣のある画風を得意としています。

彼の師である松林桂月は、現代的な感覚を取り入れながら新しい表現を追求した山水画を主に描いていました。烟嵓自身も師の影響を受けつつ、独自のスタイルを発展させ、ダイナミックな作品を数多く生み出しています。

また、烟嵓が開発した「白描水墨」という技法は、油と水の反発する性質を利用して画面上で対象を白く際立たせる手法であり、晩年の作品「陰文竹」にも見られるように、作品に独特の雰囲気を加えています。このような技法とスタイルによって、崋椿系の伝統を昭和の時代に引き継ぎ、現代の画壇にも影響を与える画家とされています。

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