中村正義の略歴　(Nakamura masayoshi)

1924年5月13日	愛知県豊橋市に生まれる
1946年	中村岳陵に師事、日展初入選
1952年	「女人」で日展特選を受賞。その後肺結核療養のため1957年まで制作を中断する
1963年	個展「男と女」開催
1964年	映画『怪談』のため「源平海戦絵巻」5部作を制作
1966年	個展「顔の自伝」開催
1969年	個展「太陽と月のシリーズ」開催
1970年	「写楽」出版。東京造形大学の日本画教師となる
1975年	東京展実行委員会事務局長として第1回東京展開催、「おそれ」を出品
1977年4月16日	肺癌のため死去。享年52

中村正義は子供のころから病弱で美術学校に通うことはできなかったが、日本画壇の重鎮である中村岳陵の画塾に入門し、22歳で日展に初入選しました。すぐに才能を認められ、速水御舟の再来とも称されました。しかし、その後、モディリアーニやデュビュッフェ、ポップアートの影響を受け、自分なりに消化した大胆な画風に転じました。その結果、日展を脱退し、師の元も離れました。この変化により日本画壇から激しい批判を受けましたが、映画の注文作品や雑誌の表紙、リアリズム風の絵など、外の世界で活躍の場を見つけました。戦後の日本画壇で異端的な作品を多数発表し、「日本画壇の風雲児」と呼ばれました。

中村正義の「顔」作品群

正義は「速水御舟の再来」と称されるほど見事な日本画を描いていましたが、ある時期を境に変貌を遂げました。

彼は日記のように『顔』という作品を描き続け、その数は15年間で約300枚に達しました。同じ顔を描いているにもかかわらず、色彩も造形も異なり、強烈な色彩と奔放なフォルムで表現された作品は、笑っているのか、泣いているのか、怒っているのかも分からないほどです。

日展を脱退した翌年から始まった『顔』の連作は、幼少期から病と戦い、39歳で癌を宣告された正義が常に向き合わざるを得なかった自分自身を表現したものでした。『顔』は正義の死の恐怖心を鎮めるために描かれた作品であり、一人ではない自分、大勢に囲まれた自分を支えにして生き続けたのでしょう。

中村正義の買取相場

日本画家の作品はその完成度によって価格が大きく変動します。描き込みが丁寧で展覧会などに出品された作品は、最高で100万円に達することもありますが、はがきサイズの小品や水墨画の作品は比較的価格が低くなる傾向にあります。

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