三尾呉石の略歴　(Mio goseki)

東京市日本橋本町で生まれた三尾呉石は、戦前に「虎の呉石」として日本一と称えられました。15歳のときに上野で開催された日本美術協会展に作品を出品し、当時の農商務大臣・金子堅太郎に才能を認められました。その後、岐阜の動物画家・大橋翠石のもとで学び、四条派の技術を習得しました。東京勧業博覧会では「猛虎」で三等賞を受賞し、文展には「寒風猛威」「村芝居」で入選しました。関東大震災を経て、1923年に埼玉県浦和市へ移住し、浦和の画家として知られるようになりました。虎の研究のため、満州や朝鮮、インド、アラビア地方を旅して虎の写生を行い、帰国後は虎専門の画家として活動しました。また、日月会、巽画会、浦和土曜会の幹事としても活躍しました。

彼の先祖は近江滋賀の三尾神社の神主一族で、江戸時代初期に江戸へ移住しました。彼には二男二女がおり、長男の正豊は日本橋本町で生まれ、東京美術学校を首席で卒業後、横山大観に師事しましたが、若くして結核で亡くなりました。この出来事は呉石を深く悲しませました。次男の三尾彰藍も日本画家であり、浅草阿倍川町生まれ、東京美術学校卒業後、浦和画家として知られるようになりました。長女輝子（後春子）の夫は医師の井上一男、次女英子の夫は文化勲章を受章した津田恭介です。

大橋翠石について

日本画家・大橋翠石は日本美術史上、特異な存在です。明治33年のパリ万国博覧会で、日本人画家としては唯一金メダルを獲得し、4年後のセントルイス万国博覧会でも連続して金メダルを受賞しました。これにより、彼は当時世界で最も高く評価される日本画家の一人となりました。

大橋翠石は現在の大垣市で生まれ、東京で渡辺小華の指導の下、絵を学びましたが、翌年、師と母を相次いで失い、故郷に戻りました。さらに濃尾大震災で父と家を失い、悲劇を経験しました。これらの困難を乗り越え、虎の絵に専念し、独自の画風を確立しました。

後年は療養のため、神戸の須磨に隠遁し、一人で動物画を中心に制作を続けました。晩年は画壇から距離を置き、彼の作品を知る者は少なくなっています。しかし、生前は横山大観や竹内栖鳳と同様に高い評価を受けており、明治天皇や東郷平八郎、大隈重信など著名人も彼の作品を愛好しました。

査定、買取のご相談はこちらから0120-772-316買取、査定はお気軽にご相談ください。

メール・写真でのお問い合わせはこちら MAIL：santouka@tanizaki-art.com

三冬花で買取できる美術品や骨董品

絵画

掛け軸

古美術品