前史雄の査定、買取は三冬花
前史雄は1940年に石川県輪島市で生まれ、漆芸の技法である沈金を駆使した作品で知られています。幼少期から祖父の弟である輪島塗沈金の名工、前大峰の影響を受け、漆芸家を志しました。大学卒業後は美術教師として活動しつつ、前大峰から沈金の技術を学びました。その後、多くの賞を受賞し、沈金の人間国宝に認定されるなど、漆芸界で著名な存在となりました。
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メール・写真でのお問い合わせはこちら MAIL:santouka@tanizaki-art.com前史雄の略歴 (Mae fumio)
昭和15年8月15日 | 石川県輪島市に生まれる |
昭和38年 | 金沢美術工芸大学美術学科(日本画専攻)卒業 |
昭和39年 | 前大峰に師事 |
昭和43年 | 第15回日本伝統工芸展入選 |
昭和46年 | 社日本工芸会正会員(現在に至る) |
平成元年 | 石川県立輪島漆芸技術研修所次長(現在に至る) |
平成5年 | 第40回日本伝統工芸展鑑査委員(以降二回歴任) |
平成7年 | 第12回日本伝統漆芸展日本工芸会賞受賞 |
平成9年 | 第44回日本伝統工芸展日本工芸会保持者賞受賞 |
平成11年 | 重要無形文化財「沈金」保持者に認定 |
平成13年 | 紫綬褒章受章 |
平成23年 | 旭日小綬章受章 |
金沢美術工芸大学美術学科(日本画専攻)を卒業後、前大峰に沈金技法を学び、1968年から日本伝統工芸展などで作品を発表してきました。最初は従来の沈金技法とは異なるアプローチを模索し、黒漆の地に行われる通常の沈金ではなく、金地に濃密に金粉をまき、その上に沈金を施すなど新しい試みを行いました。硬い金地に沈金を彫ることは技術的に難しいですが、それに成功し、1973年の日本伝統工芸展で文部大臣賞を受賞しました。その後、日本画の技術を活かした作風へと移行しました。彼の好みの題材の一つは竹林と雀です。1992年の日本伝統工芸展での作品「沈金漆箱・篁」では、密集した竹林の質感を強調しつつ、山高に丸みを帯びた器形に、飛ぶ雀の群れを的確に描写し、伝統的な金彩の竹林と着色された雀の対比が新鮮さを高く評価されました。
前大峰について
前大峰(本名前得二)は石川県鳳至郡町野村で生まれ、小学校を卒業後、沈金師三代橋本佐助(通称沈佐、号は雪洲)に弟子入りしました。同門には藤井観文などもいました。その後、独立して献上品などを制作していました。1927年、帝展に第四科美術工芸部が開設され、1929年に初出品初入選し、翌1930年には全国的に無名だった前大峰の「沈金遊鯰文手筥」が特選となりました。第四科の設立は有能な技術者を集め、公平に評価するという意義を示す適例として高い評判を得ました。
従来の沈金技法が線に重点を置き、平板で奥行きが不足していたことに満足できず、若い前大峰は量感やぼかしの表現能力を拡げることに苦心しました。特に、新聞の写真印刷が濃淡を点の大小で表現していることに気付き、点彫りの詰め方を工夫することで大きな成果を上げました。前大峰の作品の題材は幅広いですが、特に猫が多かったです。猫の毛並みを点彫りで表現し、立体感と緊張感に満ちた気品の高い名品「沈金けはい猫文小筥」(1959年)を生み出しました。
沈金について
沈金は、漆面に彫刻刀を使って模様を彫り、そのくぼみに漆液を注ぎ、金箔や金粉を埋め込み、金色の線模様を表現する技法です。同様の線刻加飾技法である蒟醬は、彫り込んだ箇所を色漆で埋めて磨くのに対し、沈金では彫り口をそのまま残す点が異なります。そのため、両者は共に刀による彫り線を重視しますが、特に沈金は刀の力強さを重視する傾向があります。
沈金は中国で宋時代から始まり、「餓金」や「鎗金」として知られていました。天明時代には盛んに行われ、他の唐物の品々とともに鎌倉・室町時代に多くが日本に持ち込まれ、高く評価されました。日本における沈金と呼ばれる技法は南北朝時代に始まりました。
前史雄の買取
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