富本憲吉の略歴　(Tomimoto kenkichi)

1886年6月5日	奈良に生まれる
1909年	東京美術学校卒業、ロンドンへ留学
1915年	奈良に窯を築く
1926年	奈良から世田谷に住まいを移し窯を築く
1935年	帝国美術院会員
1944年	東京美術学校教授
1950年	京都市立美術大学教授
1955年	重要無形文化財「色絵磁器」保持者に認定
1961年	文化勲章受章
1963年6月8日	死去。享年77

富本憲吉は明治19年6月5日に奈良県生駒郡に生まれ、東京美術学校図案科建築部を経てロンドンに留学し室内装飾を学びました。帰国後、バーナード・リーチと共に六代尾形乾山に師事し、陶芸の道に入りました。郷里の安堵村、続いて東京・世田谷に窯を築いて制作に没頭し、1935年に帝国美術院会員、1938年に帝国芸術院会員に推されました。戦後は京都に移り、新匠工芸会を結成し、京都市立美術大学の教授、晩年には学長を務めました。1955年には重要無形文化財「色絵磁器」保持者として人間国宝に認定され、晩年の1961年には文化勲章を受章し、陶芸界に多大な貢献をしました。

色絵磁器について

色絵磁器は、磁器の表面に赤・黄・緑・紫などの色絵具で文様を描く技法です。伝統的な色絵具は、酸化金属と「白玉」と呼ばれるガラス粉の一種を調合して作られます。この技法は中国の明・清時代に発展し、特に江西省の景徳鎮で優れた技術が見られました。万暦期の五彩や嘉靖期の金襴手が有名です。

色絵磁器は、透明な釉薬をかけて本焼きした後に絵の具で模様を描き、約800度の低温で焼き付けたものを指します。伝統的な上絵の具は、「鉄」「銅」「マンガン」「コバルト」などの金属酸化物と「白玉」と呼ばれる溶媒剤を調整して作られます。

上絵の具だけで彩られたものは錦手、下絵付けと併用される場合は染錦と呼ばれます。また、さらに金・銀彩を加えたものは金襴手と呼ばれ、その豪華絢爛な姿は江戸中期から現代まで人々を魅了しています。

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色絵磁器で重要無形文化財（人間国宝）に認定されたのは、富本憲吉、加藤土師萌、藤本能道、十三代今泉今右衛門、十四代今泉今右衛門、十四代酒井田柿右衛門の6人です。