清水保孝の略歴（Shimizu yasutaka）

1947年	京都府に生まれる
	龍谷大学文学部史学科 卒業、父・清水卯一に師事する
1970年	清水五条坂の窯を継承
1972年	日本伝統工芸展 初入選、以後入選を重ねる
1986年	第1回個展開催
2000年	作陶30周年記念展開催

京都・五条坂の町家。その風情ある佇まいに、祖父母の代から続く陶磁器問屋の記憶がそっと残されている。ここに暮らし、作陶に向き合うのが、陶芸家・清水保孝氏です。

昭和22年京都生まれ。龍谷大学で歴史を学んだ後、父であり人間国宝の清水卯一に師事。昭和45年、五条坂の窯を継ぎ、本格的に陶芸の道へ。昭和47年には日本伝統工芸展に初入選し、以後、数々の受賞と入選を重ねてきました。駐日フランス大使館などにも作品が収蔵され、国内外でその作風が静かに評価されています。

はじめは父とは異なる道を歩もうと、色絵や三彩釉といった自由な作風を試みた保孝氏。しかし40歳を過ぎた頃から、父が手がけていた鉄釉・灰釉の奥深さに惹かれていきます。「真似てできるものではありませんが、少しでも父の作風に近づきたい」と語る姿に、静かな敬意がにじみます。

作品には、保孝氏の大切なモチーフ「亀」がしばしば登場します。子供の頃から好きだったという亀は、鉄絵や赤絵のうつわに軽やかに描かれ、近年は白釉を使った柔らかな風合いの器に、抽象的な意匠として姿を変えて現れています。

その白釉は、父・卯一の作品にも通じるものの、保孝氏のものは志野に近い長石釉。器胎に灰釉をかけ、芋版や芒の穂で模様を描き、ふのりで防染してから白釉を施すという、手間のかかる独自の技法で仕上げられています。焼き上がった器の“窓”には、控えめながら愛らしい鉄絵の亀が、さりげなく景色を添えています。

素材選びにも余念がなく、土は滋賀県の原土屋まで自ら足を運び、水分を多く含ませてからろくろで一気に挽き上げる。その自然な口作りは、父から受け継いだ教えのひとつだといいます。清水保孝のうつわは、温かく、のびやかで、どこか懐かしさを感じさせる。器にそっと添えられた亀のつまみが、まるで作家自身の人柄を語っているようです。

清水保孝さんの本物の作品のサインとなります

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