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14代目酒井田柿右衛門の略歴 (Sakaida kakiemon)
1934年8月26日 佐賀県西松浦郡有田町で13代目の息子として生まれる 多摩美術大学日本画科で日本画を学び、卒業後に帰郷して父親に弟子入り 1971年 酒井田正名義で日本工芸会会員になり、約10年間本名で公募展や個展に出品 1982年 父の死を受けて14代目柿右衛門を襲名 2001年 重要無形文化財「色絵磁器」の保持者(人間国宝)に認定される 2013年6月15日 死去
1934年から2013年までの生涯で、佐賀県有田町出身の14代柿右衛門は、350年以上続く柿右衛門窯の長男として生まれ、当主となる運命を持っていました。
高校時代に美術部に所属し、その後多摩美術大学の日本画科に進学。
卒業後、父と祖父からそれぞれ陶芸の技術を学び、1982年に14代柿右衛門を襲名しました。
彼は職人集団の技術の見守りと育成の役割を担い、2001年には色絵磁器の分野で人間国宝に認定されました。
柿右衛門様式について
有田の色絵磁器は1659年頃からヨーロッパへの輸出が本格化し、生産技術が急速に進歩。1670年代には乳白色の素地に明るく繊細な絵画的構図を施した「柿右衛門様式」が確立しました。このスタイルは国内外で高評価を受け、オランダ東インド会社を通じてヨーロッパへ大量に輸出され、王侯貴族にも愛されました。1690年代まで流行し、乳白色だけでなく青味を帯びた白磁や染付の素地にも適用されるようになりました。
濁手と呼ばれる独特の乳白色の地色は、赤色の釉薬との組み合わせによって非常に映えると言われています。ふんだんに余白をとる構図の特徴から「余白の美」とも称されます。
歴代柿右衛門の歴史
酒井田円西が良質の陶土を発見した朝鮮陶工の李参平の助けを借りて現在の佐賀県有田町に移住し、息子の喜三右衛門と共に磁器を製作し始めました。喜三右衛門は17世紀前半に赤絵磁器を開発し、柿右衛門と名乗るようになります。彼は乳白色の地肌に赤色系の上絵を描く柿右衛門様式を確立し、ヨーロッパや中国の景徳鎮窯にも影響を与えました。初代柿右衛門から四代までが初期柿右衛門、五代から七代までは中期柿右衛門とされ、特に六代は中興の祖と呼ばれました。しかし、七代以降は技術的な困難から濁手の作品は作られなくなります。八代から十代は後期柿右衛門とされ、染付の磁器が主に製作されました。近代に入ると、十一代が経済的に困窮しながらも海外での出品を行い、十二代と十三代は濁手の復活を目指し、1953年に初めて濁手の作品を発表しました。濁手の製作技術は1955年に無形文化財に選択され、1971年には重要無形文化財に指定されました。
柿右衛門製陶技術保存会とは
柿右衛門製陶技術保存会は、江戸初期から続く伝統的な柿右衛門陶の技術を保持し、継承するために設立されました。この技術は、特に濁手素地の焼造に関するもので、十三代柿右衛門が1953年にその復元に成功しました。その成果は1955年に無形文化財として認められ、1971年には柿右衛門製陶技術保存会が設立されました。この会は技術の保存と育成を目的とし、1976年にはその保持団体として正式に認定されました。十三代柿右衛門の死後、十四代柿右衛門が事業を継承し、現代に至っています。
柿右衛門の濁手(にごしで)について
江戸時代初期の1644年から1650年頃、初代酒井田柿右衛門は日本で初めて磁器に色絵を付けることに成功しました。これは日本の陶磁史において非常に重要な出来事で、色絵磁器の創始となりました。さらに、初代柿右衛門の晩年には、「濁手」と呼ばれる乳白色の素地が開発され、この独特な素地に鮮やかな色絵を施すことで、独自の柿右衛門様式が元禄時代に完成しました。
この濁手の技術は江戸後期以降衰退しましたが、現代になって十二代と十三代柿右衛門父子により復元され、重要な文化遺産として指定されました。濁手素地の製法は、元禄3年の「土合帳」に基づき、特定の陶石と土を配合し、水で濾して調製されます。上絵の絵具も自家で調製され、特に赤絵具の製法には独自の伝統があります。この技術で作られた乳白色の素地には、淡い色彩の絵が施され、和の工芸史において特別な位置を占めています。
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