中島宏の略歴　(Nakashima hiroshi)

1941年10月1日	佐賀に生まれる
1969年	弓野古窯跡に半地上登窯を築き独立する
1977年	日本伝統工芸展日本工芸会奨励賞受賞
1981年	第１回西日本陶芸美術展内閣総理大臣賞受賞
1985年	中国浙江省龍泉県古窯跡を日本人として初めて踏査
1996年	備前藤原啓記念賞受賞佐賀新聞文化賞受賞
2002年	日本工芸会理事就任
2006年	日本陶磁協会創立60周年記念日本陶磁協会金賞受賞
2007年	重要無形文化財「青磁」保持者に認定
2018年3月7日	死去

中島宏は28歳で「弓野窯」を開設し独立した後、土と釉薬に関する研究を深め、青磁の技法を習得しました。1982年には日本伝統工芸展で活躍し、日本陶磁協会賞を受賞しました。その後、中国の古窯を訪れ、宋時代の青磁を学びながら伝統に基づいた独自の美を追求しました。

彼の作品は「中島ブルー」と称される独創的な青磁で知られ、2007年に人間国宝に認定され、2012年には旭日小綬章を受章しました。佐賀県陶芸協会の会長を務め、若手の指導にも尽力する一方で、日本工芸会の副理事長（陶芸部会会長）として審査方法の改革を推進し、日本の陶芸界をリードしました。

青磁について

青磁の起源は、紀元1～2世紀の中国後漢時代中期に、浙江省北部で焼かれた古越磁と呼ばれる陶器にまで遡ります。これらの陶器は、灰釉から派生した青緑色の釉薬で覆われています。青磁の色合いは、陶磁器の素地や釉薬に微量の鉄分が高温の還元焼成によって青緑色に着色されることによって生まれます。中国で最も優れた青磁は宋時代に焼かれましたが、その青磁の碗や壺、鉢などは日本にも多く持ち込まれ、日本の文化に大きな影響を与えました。

10～11世紀の朝鮮では、中国の青磁の技法を取り入れて独自の高麗青磁が焼かれました。日本で青磁が焼かれるようになったのは江戸初期の有田地方であり、特に鍋島青磁が優れていました。その後、江戸後期には京焼や兵庫県の三田焼、和歌山県の瑞芝焼などでも広まりました。

近代以降、多くの陶芸家が青磁の制作に取り組んできましたが、特に初代諏訪蘇山、板谷波山、宇野宗甕などの名前とその作品が知られています。青磁の釉調は、素地や釉薬の成分、また施された釉の厚みによってさまざまであり、その清純で深みのある美しさは、古くから多くの人に愛されてきた東洋陶磁を代表する陶芸であり、工芸史上、また芸術上極めて重要な工芸技術です。

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