加藤重髙の略歴（Katō shigetaka）

1927年4月26日	陶芸家の加藤唐九郎の三男として愛知県に生まれる
1942年	父・唐九郎の助手として作陶を始める
1945年	愛知県立瀬戸窯業学校卒業
1966年	日展特選北斗賞受賞
1967年	日本陶磁協会賞受賞
1970年	日本現代工芸賞受賞
1998年	名古屋市芸術特賞受賞
2013年04月9日	死去。享年85

加藤重髙さんは、昭和2年、愛知県に生まれました。陶芸に詳しい方なら、その名を聞いてまず思い浮かべるのは、父・加藤唐九郎。近代陶芸界を代表する巨匠です。重髙さんはそんな偉大な父を持ち、まさに「やきものの家」に育ちました。

8歳のとき、一家は名古屋市守山区の翠松園へ転居。良質な粘土の採れるこの地で、旧制中学時代から父の作陶を支える日々が始まりました。加藤唐九郎という鬼才の陰で、重髙さんはまさに「家族の中の職人」として、作陶だけでなく生活全体をも支えていたのです。

瀬戸窯業学校を卒業後、本格的に陶芸家としての道を歩みはじめた重髙さんは、昭和34年に日展や現代工芸展に初入選。その後も、日展特選・北斗賞・現代工芸賞・日本陶磁協会賞・朝日陶芸展知事賞など数々の賞に輝きました。しかし昭和46年頃からは公募展への出品をやめ、より自由な創作を求めて個展を中心に活動していきます。

名古屋市芸術特賞を受けたのは平成10年。著書『かまぐれ二代』や『土よ炎よ』には、父との関係や陶芸への思いが率直につづられています。

重髙さんの窯は、実は映画『豪姫』にも登場しており、本人も丁髷姿で出演。『利休』では作中で利休が織部のもとで見る茶碗を制作するなど、時代劇の世界にも足跡を残しています。

彼が特に心を惹かれたのは桃山茶陶。その独特な歪みや破天荒な美しさに、戦国乱世の厳しさと、そこに咲いた一瞬の華を見ていたのです。「あの時代の茶陶の原点を今の時代に追うなら、自分にも厳しい条件を課さねばならない」と語るその姿勢は、まさに職人の覚悟。

作風は志野・鼠志野・織部・黄瀬戸・伊賀・唐津と幅広く、どれも力強さと和みが共存し、自然体の魅力にあふれています。加藤重髙という陶芸家の人生は、まさに「土」と「炎」、そして「父」とともに歩んだ誠実な道のりでした。彼が遺した茶碗の一つひとつには、その想いが今も息づいています。

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