各務周海の略歴　(Kagami shukai)

1941年	岐阜県に生まれる
1963年	駒澤大学を卒業する
1966年	岐阜県陶磁器試験場研究生課程を修了、加藤幸兵衛に師事する
1968年	独立して、穴窯を築窯する
1979年	卓越技能賞受賞
2009年	死去

各務周海氏の窯は、小山冨士夫が発掘調査した平安時代の白瓷窯跡、永田1号窯の近くに位置します。桃山陶の中心地からはやや東に外れるものの、この地域は古くから窯業が盛んであり、特に産出される粘土の純度が極めて高い。恵那・長島町の生地を独立の地に選んだのは、自然な成り行きでした。また、窯跡周辺で土を探し歩いたことが、窯跡の発見につながり、地元の郷土史にも大きく貢献することとなりました。

主な作陶は志野と黄瀬戸。志野には長石釉を用いますが、黄瀬戸には灰釉を使用します。栗の木の皮を燃やして作った灰に、土灰、土、砂を混ぜて独自の釉薬を作り出しています。

各務氏の黄瀬戸は、その特徴である「じんわりとした油揚肌」「焦げの景色」「抜胆礬（ぬけたんぱん）」を活かしつつ、織部の精神を受け継いだ自由で大胆な作為を見事に融合させています。志野は還元焼成、黄瀬戸は酸化焼成と、それぞれ異なる焼成方法を採りますが、どちらも穴窯という難しい技法に挑み、そこから生まれる唯一無二の陶芸を追求し続けています。

Kagami Shūkai established his kiln near the historic Nagata Kiln No. 1 in Ena, a site rich in high-purity clay and ceramic history. His discovery of local clays also contributed to the unearthing of ancient kiln remains, enhancing regional ceramic heritage.

Specializing in Shino and Ki-Seto, Kagami uses feldspar glaze for Shino and a custom wood-ash glaze for Ki-Seto, made from burnt chestnut bark and local materials. His Ki-Seto pieces are known for their soft textures, natural scorch marks, and delicate blue hues, blending tradition with the bold spirit of Oribe.

Using a traditional anagama kiln, he fires Shino in reduction and Ki-Seto in oxidation, pursuing a unique, expressive ceramic style rooted in deep historical knowledge.

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