安倍安人の略歴（Abe anjin）

1938年	大阪府に生まれる
1959年	現代美術研究所および中央美術学園で学ぶ
1972年	愛媛県の自宅に築窯
1985年	岡山県牛窓町の寒風陶芸村に築窯
1995年	沼津御用邸百周年記念公園茶室に作品買い上げ
1996年	ニューヨークで個展開催

昭和13年、大阪府に生まれた安倍安人氏は、陶芸家という肩書きに収まらない、異色の備前茶陶作家です。現代美術研究所や中央美術学園で美術を学び、もともとは洋画家としてスタートした彼が、やきものの世界に足を踏み入れたのは昭和47年。愛媛の自宅に最初の窯を築いたのがはじまりでした。

その後、昭和60年には岡山県牛窓町の寒風陶芸村に拠点を移し、独自の表現を深めていきます。平成7年には、沼津御用邸記念公園の茶室什器に作品が選ばれ、平成8年にはニューヨークで個展を開催。アメリカのミント美術館やスイスのアリアナ美術館など、海外の美術館にも作品が収蔵されるなど、国際的な評価も得ています。

そんな安倍氏の作風は、一言で言えば「備前の常識を超える備前焼」。桃山時代の茶陶に対する造形的関心を背景に、古備前の魅力をただ再現するのではなく、その背後にある“かたち”の本質に迫ろうとする姿勢が貫かれています。

使うのは粘りのある紫蘇色の山土。あえて轆轤で挽いたあと、手捏ね風に成形し、表面には箆目や埴田文などの大胆なアクションを加える。そしてすべての作品は匣鉢に収めて焼成されます。藁は器に巻くのではなく、匣鉢に詰め込むという独特の技法。4基ある三度傾斜の穴窯で焼かれ、焼成も昼間焚き・夜間休止という変則的な方法を取り、最終的には1350度に達するという高温で仕上げます。

「これは僕のやり方です」と語るように、桃山の造形様式に対する尊敬を抱きながらも、それを“再現”するのではなく、素材や手法を吟味しながら、自身の方法で“追体験”していく――それが安倍氏の創作スタイルです。

「陶芸家」と呼ばれることを良しとせず、あくまでも画家として、自らの造形理論の追求の延長線上にやきものがある。備前という土に触れながらも、その向こうに桃山という美のフィルターを透かして見る。安倍安人氏は、まさに備前茶陶の新たな地平を切り拓く、異才の表現者といえるでしょう。

査定、買取のご相談はこちらから0120-772-316買取、査定はお気軽にご相談ください。

メール・写真でのお問い合わせはこちら MAIL：santouka@tanizaki-art.com

三冬花で買取できる美術品や骨董品

絵画

掛け軸

古美術品