掛け軸の保存方法

  • 保存場所:掛け軸を長期間保存する場合は、湿度や温度が低い場所を用意することが望ましいです。もし環境を用意できない場合は、湿気を吸収する掛軸用の防虫剤などの保管グッズを併用することをお勧めします。
  • 定期的にメンテナンスする:掛け軸は、時間が経つにつれてシミがでたり、巻癖がついたりすることがあります。定期的に点検をし、必要に応じて掛け軸の陰干しを行うことで、長期間保存することができます。

掛け軸の陰干し

  • 掛け軸を下から支える:掛け軸は、上部に掛けて干すと、下部がたわんでしまい、形が崩れる場合があります。そのため、下から支えるようにして干すと、形が崩れずに綺麗に陰干しすることができます。
  • 掛け軸の重ね合わせを避ける:掛け軸を干す際は、掛け軸同士が重ならないように、間隔を開けて干すようにしましょう。重ねて干すと、色が移ったり、紙に跡が付いたりする場合があります。
  • 掛け軸は、直射日光や高温多湿を避け、風通しの良い場所で陰干しするのが望ましいです。屋内であれば、網戸から外気が入る窓辺や、風の通り道に掛けて干すと良いでしょう。
  • 汚れを落とす:掛け軸に汚れやホコリが付いている場合は、乾いた布やホウキなどで取り除きます。
  • 時間をかけて干す:掛け軸を陰干しする際は、時間をかけてゆっくりと乾かすことが大切です。急いで乾かすと、紙や絵具が変形したり、色あせたりする場合があります。また、風通しの良い場所で乾かすことで、カビや菌の繁殖を防ぐことができます。

掛け軸の処分について

掛け軸の処分を考える際は、軸先がプラスチックや石製の場合、これらを取り外してください。それ以外の部分は木や紙で作られているため、燃えるゴミとして処分可能です。ただし、価値のある掛け軸を誤って廃棄するリスクがあるため、処分する前には三冬花のような専門店で確認をおすすめします。

掛け軸の名称

【合せ箱 あわせばこ】

中身と箱が本来のものでなく、別の箱を利用した物をいう。 共箱に対比する。善意には間に合せ箱のことであるが、ときとして中身は中身だけで一人歩きし、箱書きのある箱に別の物が入ってもう一つ偽物ができてしまうことがある。

【合わせ蓋 あわせぶた】

盒子や水差しなどの蓋物において失われた蓋を本体と似た別の蓋を使って完品に見せたものをいう。共蓋に対比する。

【諱 いみな】

芸術家の雅号に対し、その人の生前の実名をいう。例えば、室町時代の画人雪舟は雅号であり、諱は雲谷等楊である。

【入筆 いれふで】

書画に後からかき足すこと。また、かき足したもの。加筆・補筆の類語。

【花押 かおう】

花文字の押印の意味。華押とも書く。署名の下に書く書印で、多くは自分の名前をくずして図案化したものである。わが国独特のもので、平安時代末期、鎌倉時代の初め頃に始まり、室町・桃山時代を経て江戸時代には武家の常習となった。身分の低い者や無筆の者は○や×の簡単な印を書いて花押としたが、これは略押といい、同様に禅僧などが用いた簡素な書印を平押という。

【雅号 がごう】

画家・書家・文筆家などが本名のほかにつける風流、風雅な別名。雅名ともいう。

絵の種類

錦絵(浮世絵)

世界でもっとも早期に制作された全面色彩印刷の絵画である錦絵は、比較的に安価であるところから、江戸中・後期の庶民のあいだで愛好されて、大量に普及しました。これ専門の絵師に、春信、清長、歌麿、北斎、写楽、豊 国、国貞、国芳、広重などの英才が続々と出現しています。

文人画

京都を中心に紀州藩の儒者祇園南海、大和郡山の家老柳沢淇園、名古屋の薬種商の彭城百川などの先駆者が現れ、それを継承する池大雅、与謝蕪村、伊藤若冲、円山応挙、浦上玉堂、青木木米、田能村竹田、岡田米山人といった優れた画家が職的に活躍しました。江戸においても、この時期になると、上層武士の出である文人画家酒井抱一、公私にわたって人気のあった谷文晁、その感化から成長した鈴木芙蓉、春木南湖、立原杏所、椿椿山、渡辺崋山、田崎草雲らの同種の絵 師が輩出して、画壇を主導し、その画系は、その後の 明治維新を通過して、大正期にまで及びます。

山水画(さんすいが)

山や川、景色を描いた掛け軸です。中国の伝統的な山水画が起源とされています。日本においても、茶道や禅宗の文化と共に伝来し、多くの芸術家が制作しました。線描のように描かれた「狩野派」や、濃淡を大切にする「雪舟派」、色彩豊かな「光琳派」など、様々な画風があります。

花鳥画(かちょうが)

花や鳥、昆虫などの生き物を描いた掛け軸です。中国の伝統的な花鳥画が起源とされています。日本においても、古来より多くの芸術家が制作し、花鳥文化が根付いていきました。

書道家(しょどうか)

書道家が揮毫した書や詩を描いた掛け軸で、文字の美しさや意味を表現します。特に、禅宗や茶道などの精神文化に深く関わる「草書」や「行書」が多く使われます。

現代美術(げんだいびじゅつ)

戦後、様々な芸術運動が生まれ、新しい表現方法が追求される中で制作された掛け軸です。写真やインスタレーションなどの新しい技法を取り入れたものもあります。